単純な恋。
「母さんって、実家に帰ったの?」


「昨日、帰って一泊してきた。
夏海に言われて…そうだなって思ってさ。

『わかっててしないのはわからないより、たちが悪い』

なんかズドンって」


軽く笑いながら胸に手を充てる西原。


「…そっか」


「だから、夏海には感謝してる。俺の背中、ひっぱたいてくれて。バシッバシッて」


「…」


「ありがとな」







「…ごめん。

…透に素直に感謝される程の事してない、私。
…あんな風に言ったのは…透に嫉妬したから。

透が私の弟に見えた。

…私、子供の頃から
『夏海はお姉ちゃんでしょ。夏海は女の子なのよ』ってお母さんとかお婆ちゃんに言われてた。
私がしたら怒られる行動も弟がしたらみんな許して。弟が落ち込んだらみんな心配して。
いつもは呑気なお父さんまで。

私はしっかり者でいつもお姉ちゃんで
女の子だからヤンチャしちゃいけないって 。

いつも甘えて、ヤンチャしてもそれが良いって言われてる弟に嫉妬してた。

透の事、みんな心配してるのに拗ねて、甘えて。ズルいなって思っちゃったの。


…ごめん。だから透に感謝される程の事、私してない」











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