女子力高めなはずなのに
性懲りもなく槇村はまた中野さくらに声をかけていた。だからまた邪魔をした。

電話が来たなんて当然嘘だ。

階段ですれ違いざま、槇村はイライラしながら俺を睨みつけてきた。

「いちいち邪魔するなよ!本人がよければいいだろ」

「ダメだよ。彼女は渡さない」

俺が睨み返すと、槇村はフフンと笑った。

「渡さないも何も、彼女は井川課長のものじゃないでしょ?」

「それでもダメだ」

「井川課長、普段からそうやって鋭い目をしていればいいのに」

ニヤニヤして、嫌なヤツ。こんなヤツに本気を出すまでもない。

「……槇村さん、電話、切れちゃったみたいですよ」

地味敬語モードに切り替えて、肩をすくめてそう言うとその場を立ち去った。

……本人がよければいい、だと?

確かに、槇村に声をかけられて、中野さくらはまんざらでもない様子だった。

ムカつくな。

あんな奴のどこがいいんだよ。
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