女子力高めなはずなのに
その上、俺のワイシャツを着た中野さくらを見てみたくなって、枕元にワイシャツを置いてみた。そんな姿を見たいだなんて、俺も案外単細胞だ。

自分がワイシャツを着た理由を後から聞いたら怒るだろうな。

まあ、いいさ。
怒った顔も見たい。

それに、少しでも彼女に俺の印象が残れば、それでいい。


翌朝、目を覚ました中野さくらは大混乱していた。

しかも俺に、色白やせ眼鏡、なんてセンスのないあだ名をつけていたとは。

笑える。

中野さくらは俺の冗談に驚いたり怒ったり、俺のひっかけにまんまと引っかかったりして、気兼ねする様子もなく敬語にもならず、当たり前のようにそこにいて、自然にたくさん喋っていた。

俺の望んだ通り。

自分が女子力高いとか言い出して、それも見た目と料理だなんて、ベタな勘違いをしているし。

見た目なんかじゃない、内面の明るい優しさが君の魅力なのに。

ワイシャツ姿を可愛いと言ったら頬を赤くした彼女も、たまらなく可愛かった。こんなの誰にも見せたくない。

……あの時、俺の無機質な部屋はひだまりのような暖かさに包まれていて、心から笑った。

この感覚は何だろう。

もしかしたら俺は、中野さくらと一緒にいて、「幸せ」を感じていたのかもしれない。
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