女子力高めなはずなのに
井川さんは一人で家にいるようだった。

ご飯を作ってくれる人もいないって言うし。

……心に決めた人とか言って、もしかして片想いなのかな。

まさか、人妻とか!?

ずっと諦めきれずに想い続けてる、とか?

それとも今日はたまたまそばにいないだけ?

そんなことをごちゃごちゃと考えながら、半ば強引に家に押しかけてしまった。

風邪をひいて弱った様子の井川さん。

弱った姿にすらドキッとする。

そんな自分の気持ちをひた隠しにして、早口で「いいから寝てなさい」とベッドに追いやると井川さんはすぐに眠ってしまった。

本当に辛そう……。

井川さんの寝顔は、ドジな色白やせ眼鏡でもなく、強気な井川さんでもなく、無防備な少年のようだった。

額にそっとタオルを乗せたら、愛おしさが胸に迫ってキュンとして、涙がにじんだ。

あー、もう!ダメだ!

そばにいると思い知る。

この人を好きになってしまったってこと……。

もう自分自身にも気持ちを隠しきれない。

あんまりそばにいちゃいけないな。

苦しくなるだけだもの。
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