女子力高めなはずなのに
井川さんは画面から離れて背筋を伸ばすと、ニコッと笑ってこちらを見た。

「うん、間違いもないみたいだし、大丈夫!」

「本当?じゃあ、これで終わり?」

「まだだよっ」

「えー?」

「資料の印刷!」

「あ……、そうだった」

がっくりと肩を落とす私。

「まあまあ。そうがっかりするなよ。印刷なんてすぐに終わるだろ」

「うん、そうだね」

予想通り、印刷はあっという間に終わった。

印刷した資料を取り出して戻ってくると、井川さんは椅子の背もたれに体を預け、眼鏡を外して目を押さえていた。

さすがに疲れたよね?

でも、そんな姿もつい見惚れてしまう。

資料を手に、静かに井川さんに近づいた。

「あの、手伝っていただいてありがとうございました」

わざと敬語でお礼を言って資料を差し出すと、井川さんはパッと私を見て爽やかに笑った。

「いえいえ。そっちこそお疲れ!」

「……井川さん、さすがに本気出してたね」

「んー?それはどうかなー」

「だって今、全然ヨレヨレじゃないもん」

「え?これ以上ヨレヨレになれと?」

いたずらっぽく笑う井川さん。

いや、そんなことは言ってないんだけど。
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