女子力高めなはずなのに
分かってる。

仕事なんだって割り切ることもできず、ほんのちょっとした人間関係の摩擦からも私は逃げている。

ぶつからないように、平穏に平穏に。

めんどくさい、という言葉を使って自分さえもごまかしてきたけど、本当はぶつかって嫌われることが怖いだけなんだ。

後輩にすら気を使うなんで、本当にどうしようもない。

……もしかしたら私、お父さんのご機嫌をとっていた子どもの頃から何も変わっていないのかも……。

今まで考えないようにしていたけど。

考えることを避けていたけど。

私、自分のことをちゃんとした大人だと思ってたけど、本当はものすごく子どもなのかもしれない。

精神的にはこれっぽっちも成長してないのかもしれない……。

そう思ったら急激にシュンッと落ち込んだ。

「はいっ!これ重要ね!試験に出るから、ちゃんと復習しておくように!」

は?

なに?

急に授業風?

驚いて顔を上げる。

「マーカー引いとけよー」

しれっと授業風を続ける井川さん。

……。

なんだろう。

もしかして、言い過ぎたとか思ってふざけてる?

それで落ち込んだわけじゃないんだけど。

でも、面白いからちょっと付き合ってあげようかな。

「……ハーイ」

「じゃあ、復唱してー」

え?復唱?

そこまでノリノリにはなれないな。

それにどの部分を復唱?

だから復唱は無視して、手をあげて質問してみた。
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