女子力高めなはずなのに
「はい、センセー」

「はい中野君」

「この間、オッサンが勝手に化粧を落としたんですけど、その後ちゃんと化粧水とか保湿とかしてくれたんでしょーかー?」

面白いからもう一度オッサンと言ってみた。

井川さんは眼鏡を指でスッと直した。

「中野君?オッサンって言われると傷つく人いるって言ったよね。これ、重要!絶対次の試験に出るからね!」

井川さん、ムキになってる。

思った通りの反応。

面白い、楽しい。

そう、すごく楽しい……。

井川さんといるとすごく楽しい。

もう笑顔になってる私がいる。

そんな、困ったな……。

……いや、違う。

きっとこの授業ごっこが楽しいだけだよ。

「オッサンじゃないことはわかりました!で、保湿は?」

「してないよ」

「ダメじゃん」

「落とせばいいんだろ?」

もうっ!その後が重要なのに!

「ダメだよっ!この冬の乾燥している時に保湿しないなんて!乾燥したら大変なことになるんだから!」

「ふーん」

「ふーん……って!井川さん、化粧落とすの慣れてるんじゃないの?」

「んなわけないだろ!なんだよその認識!」

「そうなの?今まで当たり前のように女の人の化粧を落としてきたのかと思ってた」
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