女子力高めなはずなのに
井川さんは頬杖をついてじっと私を見つめた。

なに?

そのニヤッてなに?

「他の女にもそんなことしたんじゃないか、なーんて。もしかしてお前、ヤキモチ妬いてるの?」

「そ、そんなわけないよ」

ドキッとして、目をそらした。

井川さんはまだ頬杖をついたまま。

「化粧を落としたのなんて中野さくら以外いないよ」

なによ、その余裕な表情。

そんなこと言われても、嬉しいような微妙なような、複雑な心境……。

だいたい他にいないなら、なんで私の化粧は落としたのよ!

「この次は保湿もすればいいわけだ?」

「なっ!この次はないからっ!」

「わかんないよー、お前また酔っぱらうかもしれないし」

「もうあんな失敗しないもん」

ニヤニヤしないでよ。

信じてないな!

「ホントだもん」

「はいはい。……でも、俺には頼ってもいいんだぞ」

「え?」

「頼るの苦手なのかもしれないけどさ。お前はいろいろと一人でがんばりすぎ。そんなにがんばるなよ」

「……」

井川さん、さっきから「一人で抱えるな」とか「頼っていい」とかそんなことばっかり言ってるけど……。

言いたいことはなんとなく分かってる。

でも、頼っていいなんて言って、それって上司としてなんでしょう?

会社の人間関係上ってことなんでしょう?

それなのに……。
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