女子力高めなはずなのに
「井川さん、好きな人がいるんでしょ?」

「……いるよ」

「!」

ほらっ!やっぱり!

「じゃあ、何でこんなことするのよ!」

「それはっ」

床を蹴って椅子をスウーッと井川さんから離れた。

私は井川さんから卒業しないといけない。

「私にだって、好きな人いるもん」

「え?」

何、その驚いた顔。

私にだって好きになりそうな人くらい、いるもん。

まだわかんないけど。

「今日、お食事に行くはずだったのに。アンタが変なミス見つけてくるから、行けなくなっちゃったじゃない!」

「……」

まだ私をじっと見ている。

なによ。

その表情の意味が分からない。

「そう……」

「そうだよっ」

「そうか……」

井川さんは目を伏せて立ち上がると、椅子を元の場所に戻した。

「悪かったな、変なことして。セクハラと言われれば確かにそうだよな。……ごめん」

井川さんは顔をそむけた。

セクハラなんて、言い過ぎたかな……。

本当は嬉しかった。
離れたくなかった。

でも……、離れなきゃいけないんだから。

このくらい強く言ってよかったんだよ。
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