女子力高めなはずなのに
「ウソウソ、ちゃんと買ってやるよ」

井川さんは笑いながら小銭入れを出すと、私の分のお金を入れてくれた。

私がボタンを押してカフェオレを買うと、井川さんはまた笑った。

「それ、買うと思ったよ」

「なんで?」

「んー?なんとなく」

井川さんは笑いながらそう言って、取り出し口から缶を取ってくれた。

缶を渡す距離の近さにドキドキする。

ちょっと、近すぎない……?

「誰のためにこんないい匂いさせてるんだ?」

「え?」

なに、いきなりそんな質問……。

そんな、別に、アンタのためじゃ、ないもん。

「……自分のため、かな」

あながち嘘ではないから、そう答えた。

すると井川さんは少し目を丸くして、それからニッと笑った。

「それはいいね」

「え?」

井川さんの答えが意外で面食らう。

「いや、男のためとか言ったら注意してやろうと思ってたんだけど。自分のためっていうのはいいんじゃない」

「そ、そう?」

「うん。男の趣味に合わせて綺麗にしようなんてどうかと思うよ」

「そう、かな?」

「そりゃそうだろ?男のいいなりになって女子アナにしたりギャルにしたりしてたら、自分が何だか分かんなくなりそうじゃん」

それは、ちょっと言い方がオーバーだけど。
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