女子力高めなはずなのに
「コイツ貸してやれるのはここまでだから。返してもらうよ」

エッ?

はあ!?

何言ってんの?

「ずいぶん強引だね?」

槇村さんも無表情で井川さんを睨んでいる。

それはそうだよ。

槇村さんが怒るのは間違ってないと思うよ、私も。

でも、状況が今一つ掴めなくてキョトキョトと二人の顔を何度も見た。

「早く来い!」

井川さんにぐいっと腕を引っ張られた。

「あっ!でも、槇村さん……」

「いいから!」

「え?そんな!あ、ちょ、ちょっとっ!」

槇村さんの方を見ると、誰かに電話をかけている様子。

ええっ!
もしかして、次の候補生ですか?

切り替え早いな!

そのままグイグイ引っ張られてあっという間に槇村さんの姿は見えなくなった。

「何なのよ!痛いよ!離してよっ!」

大きな声を出してバタバタ抵抗しても、井川さんは掴んだ腕を離してくれそうにない。

それに井川さんが大きな歩幅でガンガン歩くから、引きずられるような格好になってしまって小走りにならないとついていけない。

ずいぶんな距離を歩いて、とうとう川沿いの遊歩道まで来てしまった。

「痛いっ!痛いよ、離してっ!もう戻らないから!」

私がそう言うと井川さんは立ち止まって、顔をそむけたまま手を離した。
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