女子力高めなはずなのに
肩を掴んだ手を離すと、井川さんはまた顔をそむけた。

「家まで送ってやるよ」

「……いいよ、別に」

なんかもう疲れた。

「ダメ!送る。放置するとお前、一人で飲みに行ったりしそうだから」

「ええっ!?なにそれ?私、そんなことしないよ」

「いや、信用できないな」

そう言うと、井川さんはいきなり私の手を握って歩き出そうとした。

突然のことに驚いてビクッと硬直する。

「ちょ、ちょっと!何すんのよ!」

このまま手を繋いで歩くの?

恋人みたいに?

……どういうつもり?

「逃げるといけないから」

「逃げたりしないって」

「いや、ダメだよ。離さない」

台詞だけ聞いて胸がキュンとした。

離さない、なんて。

そんな台詞にいちいち反応してキュンとするなんて、私ってすごく単純。

でも。
だって。

私の手を握る大きな手は温かくて優して、抱き締められてるみたいなんだもん……。

その力強さを、手の厚みを感じるだけで、胸がキュウッとむず痒くなる。
< 204 / 325 >

この作品をシェア

pagetop