女子力高めなはずなのに
「まあ、話の流れからするとそんな感じだろ」

「う、うん」

「俺は全然構わないよ、お兄さんとお話ししても」

井川さんは私を見上げて悪戯っぽく笑った。

「やだっ!いいよそんな!悪いけどお父さんのこと交番まで運んだら帰って!」

「いいや、帰んない」

「なんでよ!」

「とにかく親父を運ぼうぜ」

あ、そうだった。

お父さん、地面はかなり冷たいはずなのにすっかり寝てしまっている。

井川さんはお父さんを背負うと「重いなー」と言いながら立ち上がった。

誰もいないかと思った交番には警察官が一人いて、事情を話したら中で待たせてもらえることになった。

とりあえず暖が取れて一安心。

井川さんは背中からお父さんを降ろすと長椅子に寝かせた。

明るい所で見るお父さんは顔が赤くて服もボロボロで、そんな姿を目にしたらますます虚しくなった。

でも、こんなボロボロなお父さんに対しても、私は一人じゃ何もできなかった。

情けないな……。

井川さんがいてくれて、本当に助かった。
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