女子力高めなはずなのに
「次男の名前に一の字を入れた理由が、兄貴に何かあった時は長男になるから、なんて理由、狂ってるだろ?」

「?」

……なんだろう、それ?
理解できなくて首を傾げる。

もしかして?

「……井川さんってすごい由緒あるお家柄の人なの?」

「え?いや……そんなにすごい由緒あるって程でもないよ」

「……」

それは、つまり?
ちょっとは由緒あるお家柄なんだ……。

ピンとこないけど。

もしそうだとしても、そんな理由で次男の井川さんに『一樹』って名前を付けたなら、ちょっと変わった親御さんだと思う。

「今考えると兄貴は可哀想なヤツだったと思うけど、あの頃はそんなのわかんなくてね。兄貴のことが大嫌いだったよ。兄貴だけがあの家の子どもみたいで、俺はまるでいないみたいだった。兄貴も俺を蔑んでたし」

井川さんのお兄さんって、どんな人だったんだろう。

やっぱり色白で黒髪?

……私の発想って、くだらないなあ。

「特に母親のひいきがすごくてね。母親は俺とは目も合わせてくれなくて、話をするのも兄貴だけでさ。
俺も小学生くらいまでは悪あがきをして、何とか親に振り向いてほしくて勉強がんばってみたり速く走ってみたり、いろいろやってみせたけど、結局見向きもされなかったよ」

「……」

それって、すごく寂しい……。

だって、大好きなお母さんが目の前にいるのに無視されちゃってるってことでしょう?
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