女子力高めなはずなのに
大好きな人がそばにいなくて寂しいっていうのより、大好きな人がそばにいるのに無視されて寂しいっていう方が、きっとつらい。

そんな、見向きもされないなんて……。

お兄ちゃんに無視されたら?
井川さんに無視されたら?

そんなの、私だったら耐えられない。

急に悲しい気持ちが込み上げてきて、涙が湧いてぽろっとこぼれてしまった。

あ!もうっ!私ったらなにやってるんだか。

ただ話を聞いているだけなのに……。

「ごめん、何か嫌なこと思い出させたかな?」

井川さんは心配そうに私を覗き込むと、絡めていない方の手で私の頬を拭った。

「ううん、違うのっ!井川さんが寂しかったのかなと思って……、勝手につらくなっただけだから」

「……」

頬を拭う太くて優しい指の感触にドキッして、急いで首を振った。

「ごめんっ!続きは?」

「……続き?ああ、続きね。中学になった頃にはもう諦めて、家族とは距離を置きつつ、不良にもならず成績優秀にもならず、なんとなく高校、大学と行って就職したわけ、俺は」

「うん」

「でも兄貴は大学受験に失敗しちゃってさ。まあ、期待を一身に背負って最高学府目指してたわけだから仕方ないっちゃ仕方ないんだけど。2浪してやっと入ったんだよ」

「えっ?でも入ったなんてすごいじゃん!」
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