女子力高めなはずなのに
翌日、中野さくらは俺を避けていた。用事を全部電話で済ませるなんて。

ま、嫌われたからな。仕方ないさ。

そうは思ってもやっぱり槇村が何かするんじゃないか心配で、帰り道、後をつけていた。

こんなことして、俺ってストーカーなんじゃないのか?
いや、守るためだから違うだろ?

一人で自問自答しつつ、路地を曲がったところで事件が起こった。でも、事件を起こしたのは槇村ではなく彼女の父親だった。

酔って暴れる小さい親父に、彼女はまた固まって怯えていた。俺が止めなかったら、たぶん殴られていただろう。

冷静に対処すればあんな親父、何とかなりそうなものだけど。たぶん冷静でいられないんだろう。俺が親父を止めたら泣くし。

それにしても、この人ちょっと親父に対して怯えすぎなんだよな。

でも、その理由は中野さくらの話を聞いてなんとなく分かった。

たぶん兄貴のせいだな。

それより何より、俺は少し考えを改めることになった。

中野さくらは重い女。そう思っていたけど。

彼女の子どもの頃の話が、ここまで悲惨な話だとは思わなかった。
食べる物や服にも困る生活だなんて。押入に隠れていたなんて。つまり、衣食住に困る生活。

そんな話を彼女は明るく話すから、とても不思議だった。

彼女のどこが重いんだ?むしろ、背景に対して明るすぎない?
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