女子力高めなはずなのに
「そういえばさ、親父、入院できた?」

急にお父さんの話になったから首を傾げた。

「うん……。たまたまベッドが空いたらしくて入院できたってお兄ちゃん言ってたけど」

「そっか」

「どうしたの?」

「見舞いに行こうか?」

「え?」

そんなこと考えてもみなかった。

自分からお父さんに会いに行くなんて、考えたこともなかった。

「見舞いに行ってさ、取られた金、返してもらおうぜ。そんでもって、思ってることをハッキリ言ってやれよ」

「それじゃ、お見舞いにならないんじゃ……」

「別にいいじゃん。病院にいるなら向こうも逃げられないだろ」

「……お父さんに、会いに行くの?」

「うん、一緒に行こうよ」

井川さんが一緒に行ってくれるなら平気かな?

「……行って、みよう、かな」

「決まり!じゃあ、今日行こう」

「え?今日?」

そんな急に、ドキドキしちゃうな。

「なんか用ある?」

「ないけど……」

「じゃあいいじゃん。善は急げっていうしね」

やろうとしてることは「善」って感じでもないけど。

お父さんに思っていることをハッキリ言う?

一体何を言えば……。
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