女子力高めなはずなのに
目が覚めて体を起こすと、ベッドに井川さんの姿はなかった。

でも、美味しそうないい匂いがする。

ご飯作ってくれたのかな。

バターのいい香り……。
あのスクランブルエッグかも。

あれ、美味しかったな。

ふと見ると枕元にはワイシャツがちょこんと置いてある。

ムムッ!

芸が細かいと言うか、有言実行というか……。

しょうがないなー。
期待に応えて、着てあげようか!

ワイシャツはやっぱり大きくて、この間と同じように、いかにも彼氏の家に遊びに来た女の子が彼の大きなワイシャツ着ちゃった感が半端なかった。

ちょっと照れつつ、扉を開ける。

「あ、起きた?」

この台詞もこの間と全く同じでなんか不思議。

そこに立っているのはやっぱり、色白やせ眼鏡じゃなくてカッコイイ井川さんなわけで。

「おはよう」

井川さんは近づいてきて、私を抱き寄せるとキスをした。

あ、これはこの間とは違う。

そしてまた照れる。

井川さん、こんなことするんだ。

「うんうん、やっぱりいいな!可愛いなっ!」

「……」

ワイシャツ姿、そんなに好きなの?
喜んでもらえて良かった……。

「腹減ったろ?ご飯作ったから食べよ」

「……うん」

あ、やっぱりスクランブルエッグ。

「これ美味しかったんだ」

「お前、そこそこ美味しいって言ってなかったっけ?」

「あの時は……、なんか素直になれなかったんだよね」

「今は素直になれる?」

「うん」

私が笑ったら井川さんも微笑んだ。

なんか、なんか。

すごく幸せ。
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