女子力高めなはずなのに
門から玄関まで案内される途中、さくらは小声で話しかけてきた。

「あの人弁護士さんなの?」

「そうだよ」

「そうなんだ……。てっきりカズくんのお父さんかと思っちゃった」

「……」

初めて見るさくらの目にもそう映るのか……。

宗像さんは俺が生まれる前からこの家に出入りしている弁護士だ。今日も俺が母親に会えるよう間を取り持ってくれた。

俺と宗像さんは顔も背格好もよく似ている。

だから、子どもの頃は親戚たちからよく噂された。俺は母親と宗像さんの不貞の子だと。

宗像さんはいつも笑顔でその疑惑を否定していたし、母親も噂話なんて取り合わなかった。

それでも、俺がこの家で存在を無視されているのは、宗像さんのせいなんじゃないかと強い反発心を持ったこともあった。

そうやって俺が無意味に当たり散らしても、宗像さんはにっこり笑って受け流すだけ。だからそのうち、反発すること自体がバカらしくなっていった。

それに宗像さんは、家族からいない存在として扱われていた俺とも普通に話して普通に接してくれた。まあ、弁護士だからかもしれないが。

そもそも父親が誰であっても、母親が当主なんだから立場は何も変わらない。

でも、こうして大人になって、客観的に眺めてみると改めて思う。

俺と宗像さんは本当によく似ている。
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