女子力高めなはずなのに
今のところ、親戚連中は誰も顔を出さないな。

「今日は誰も来ていないよ。いるのはお二人と僕だけ」

廊下の様子を伺う俺の心を読んだかのように、宗像さんは微笑んだ。

人払いでもしてくれたんだろうか。この人は昔から本当に気のきく人だ。心から感謝する。

親戚には口の悪い奴が多い。平気でさくらを傷つけることを言うだろう。だから警戒していたんだけど。これなら安心だ。

「そうでしたか……。ありがとうございます」

家政婦がお茶を運んできてテーブルにセットするのを見届けると、宗像さんは俺たちの正面に座った。

「結婚式とか披露宴はどうするの?」

「式はあげたいと思っていますが、日取りや場所はまだ決めていません」

「そう。もし披露宴をするつもりならちょっと考えた方がいいかもね」

「……そうですね」

以前から、披露宴はできないかもしれない、とさくらにも話はしていた。

井川家の長男である自分が披露宴をするとなったら、家を継ぐ継がないに関わらず、血縁関係や母親の政治的な関係者を山のように呼ばなければならない。

会場も限定されるし、招待客は相当な人数になるだろう。席の位置関係なんて考えただけで頭が痛くなりそうだ。

それでもさくらが披露宴をしたいなら、少し無理をしても構わないと思ったが、さくらは「披露宴はしなくていい」と言った。
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