女子力高めなはずなのに
父親の話し方は他人行儀で、俺を見る目もその辺の不動産屋のオッサンみたいだった。
そういえば、父親とこんな風に会話をしたことがあっただろうか。いや、ない。
話しかけられたこと自体初めてじゃないのか?
書類をトントンッと揃えると、父親も母親の後を追うように廊下に姿を消した。
薄暗い和室に二人残されて、畳に手をついたまま、しばらくじっと畳の縁の家紋を見つめて押し黙った。
母親との会話は静かな嵐のようだった。そういえば、座布団に座ることすら忘れていた。
体を起こして横を見ると、さくらがひどく心配そうに俺を見ていた。
「……カズくん、これで良かったの?」
「うん、これで良かったんだ」
「ごめんなさい。私、うっかりカズくんって呼んじゃって……」
「そんなの、全然いいよ。別に怒られなかっただろ?」
「それはそうだけど」
さくらはうっかり「カズくん」と呼んでしまって落ち込んでいるようだが、俺はあの時の母親の反応の方が気になっていた。
「追い出される前に、お茶飲んじゃおうぜ」
ズイッと前に移動して座布団に座ると、蓋付の茶碗を手に取った。さくらも俺の真似をして座布団に座り、チラチラ見ながら見よう見まねで茶碗の蓋を取った。
「もう誰もいないから、真似しなくていいんだよ」
「エヘヘー、いちおう真似してみた!」
緊張がとけたのか、さくらは俺を見てにっこり笑ったから、俺もつられて微笑んだ。
さくらの笑ったら、まるで花びらが舞ったように薄暗い和室がフワッと明るくなった気がした。
そういえば、父親とこんな風に会話をしたことがあっただろうか。いや、ない。
話しかけられたこと自体初めてじゃないのか?
書類をトントンッと揃えると、父親も母親の後を追うように廊下に姿を消した。
薄暗い和室に二人残されて、畳に手をついたまま、しばらくじっと畳の縁の家紋を見つめて押し黙った。
母親との会話は静かな嵐のようだった。そういえば、座布団に座ることすら忘れていた。
体を起こして横を見ると、さくらがひどく心配そうに俺を見ていた。
「……カズくん、これで良かったの?」
「うん、これで良かったんだ」
「ごめんなさい。私、うっかりカズくんって呼んじゃって……」
「そんなの、全然いいよ。別に怒られなかっただろ?」
「それはそうだけど」
さくらはうっかり「カズくん」と呼んでしまって落ち込んでいるようだが、俺はあの時の母親の反応の方が気になっていた。
「追い出される前に、お茶飲んじゃおうぜ」
ズイッと前に移動して座布団に座ると、蓋付の茶碗を手に取った。さくらも俺の真似をして座布団に座り、チラチラ見ながら見よう見まねで茶碗の蓋を取った。
「もう誰もいないから、真似しなくていいんだよ」
「エヘヘー、いちおう真似してみた!」
緊張がとけたのか、さくらは俺を見てにっこり笑ったから、俺もつられて微笑んだ。
さくらの笑ったら、まるで花びらが舞ったように薄暗い和室がフワッと明るくなった気がした。