女子力高めなはずなのに
玄関に行くと、土間に降りた所で宗像さんが俺たちを待っていた。

「イツキくん、言いたいことは言えた?」

「はい」

「それは良かった」

「『もう二度と来ないで』って言われましたけどね」

「それはね、翻訳すると『元気でね』になるんだよ」

そう言われると言葉に詰まる。

そういえば、あの誓約書は宗像さんが用意したんだよな……。

「父から聞きましたが、今回は宗像さんが書類を用意して下さったそうですね?母との取り次ぎもしていただいて、本当にありがとうございました」

頭を下げると、宗像さんはフッと笑った。

「いや、たいしたことはしてないよ。君が幸せになれるならね、それでいいじゃない」

「はあ……」

幸せになれるなら?まあ、この家から離れられるなら、幸せとも言えるか。

「でも、これでもう跡継ぎ問題を口実に、君に電話ができなくなっちゃうな」

「……」

やけに意味深な発言だな。まるで、もう息子に電話ができない、と言っているようだ。

俺が黙っているとさくらが宗像さんに話しかけた。

「宗像さんはお誘いしたら結婚式に来てくださいますか?」

宗像さんは少し驚いた顔をした。

「僕はただのお抱え弁護士だよ?」

「でも、イツキさんのご両親はたぶん来てくださらないと思うし、宗像さんなら来てくださるのかなと思って」

さくらは天然でそう言っているんだろうか。それとも何かに気が付いて言っているのか?

宗像さんはにっこり笑った。

「もちろん。ご招待いただけるなら、喜んで」

「わあ、良かったです」

さくらは嬉しそうに笑った。
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