女子力高めなはずなのに
宗像さんは門まで俺たちを見送ってくれた。

「宗像さん、本当にこっちに来る時は言ってください。俺たち、いろいろ案内しますから」

「うん、頼むよ。スカイツリーとか行ってみたいねえ」

「いいですよ」

俺が微笑むと、宗像さんも微笑んだ。ハッとするほど俺とそっくりな笑顔で。

「じゃあね」

「宗像さんもお元気で」

「僕も年だからね、せいぜい気を付けるよ」

俺は頭を小さく下げて、その場を後にした。手を振る宗像さんに、さくらは笑顔で手を振り返しているようだった。

俺は振り返ることができなかった。俺とそっくりな人が笑顔で手を振っているなんて。

ずっと分かっていたんだ……。
ただ、考えることから逃げていた。
でも、間違いない。

俺の父親は宗像さんだ。

少し離れた駐車場に停めていた車に乗り込んで、じっと考えた。今日の宗像さんはやけに意味深だった。

今までそんな素振り、一切見せなかったのに。

あの家から俺が追い出されることは事前に決まっていたようだから、本当のことでも言うつもりだったんだろうか。
それとも本当のことは言わないまま、緩やかな関係を保っていたかったんだろうか。

分からない。

ふと思い出して、サインを書かされた誓約書を懐から取り出した。全く見もしないでサインしてしまったが、何が書いてあったんだ?

宗像さんが用意したなら、ひどく不利なことは書いていないと思うが。
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