女子力高めなはずなのに
槇村さんの向こう側から矢のように視線が突き刺さってくるけど、ぼんやりしちゃってそれも全然気にならない。

「お酒、飲めないの?」

「い、いえ。そういうわけではないんですが、すごく弱いので……」

「そうなんだ」

にっこり笑顔の槇村さん。

でもそれ以上話が続かない。


もう!何やってんのよ、私!

千載一遇のチャンスなのに!

でも、焦れば焦るほど、何を話していいのかわからなくなる。

口数の少ない私を押しのけて、理恵が私と槇村さんの間に入り込んで、ガンガン槇村さんに話しかけ始めた。

結局私は小さく固まったまま、時々鍋をみんなに取り分けたりして、横に座ってうなずいて話を聞くだけ。

あーもう!

アタシって本当に要領が悪いというか、本番に弱いというか……。

落ち込むなー。


化粧も直したいし、ちょっと席を外そうかな。

私が席を立つ時、チラッとノムさんと目が合った。

色白やせ眼鏡がノムさんに何かを耳打ちしている。

あの二人仲良いんだ?

まあ、同じ業務課だし、目立たない地味同士だし、いいんじゃない?

そんなことを軽く思って特に気にもせずトイレに向かった。
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