女子力高めなはずなのに
……そうだ、お兄ちゃんに電話しなきゃ。

考えてみたら、お父さんが来た時点でお兄ちゃんに電話すれば良かったのに……。

全然思いつかなかった。


電話をかけるとお兄ちゃんはすぐに出た。

『おう、さくら?どーしたー?』

「おにいちゃん……」

『……どうした?』

「……」

お兄ちゃんはすぐに私の異変に気がついた。

『親父か?』

「うん……」

『親父が来たのか?』

「うん」

『殴られた?』

「……ううん、ちょっとぶつかっただけ……」

『大丈夫か?』

お兄ちゃんはいつも優しい。

優しくて、心配してくれることが嬉しくて、また涙がこぼれてきた。

「ん、だいじょうぶ」

『そっか……。親父のやつ、また逃げたな』

「逃げた?」

『うん、肝臓の数値が良くなかったから検査入院することになってたんだ。ただの検査入院なのに、自分の余命でも言われそうで、怖くなったんだろ?』

なるほどね。

その怖さを紛らわすために逃げて、またお酒を飲んだんだ……。

本当にダメな弱い父親。
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