だらしない上司の扱い方。


『加々美?こんな所で何してんだ?』


間が悪いことに、背後から聞こえて来たのは課長の声。


『な、何でも有りません!』


背中を向けたまま、それだけ言う。
出来るだけ強気に。
泣きそうな顔を見られる訳にいかないから。


『何でも無いって……。おい、背中向けて話すって仮にも上司に失礼じゃないか?』

『っ……。仮にって、自分でもそれっぽくないって分かってるんじゃないですか』

『本当に失礼な奴だな…。ったく……』

『いたっ……!』


動かなかった足。
それが強引に引っ張られたことによって動かされて、壁に背中を打ち付ける。


『何するんですかっ!』


手を振り払って思いっきり課長を睨む。
本当に上司にやるような事じゃないけれど、背中の痛みでほとんど反射的に言ってしまった。


でも、課長はその反抗的なの態度に怒るわけじゃなくて……。


『……やっぱり何でも無くないじゃないか』

『え……。あっ……!』


顔を課長に向けてしまったせいで、泣いてたのを気づかれてしまったみたい。

慌てて、俯くけれど、普段強気で反抗的な態度ばかり取ってる私が泣くなんて、笑われるかもしれない。




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