だらしない上司の扱い方。
『加々美、顔上げろ』
『……っ!やっ……!』
強引に顎を手で持ち上げられて上げられた顔。
片手は壁につけられていて、逃げ場も無い。
今、流行ってるらしいいわゆる壁ドンの体制。
当たり前だけど、そんな女子的憧れのシチュエーションに酔えるような状況じゃない。
でも、笑ってるかもしれないと思った、いつもはふざけてばかりいる課長の顔は真剣で……。
『泣いたのか?』
『っ……!もとはといえば課長のせいじゃないですか!!』
指摘された恥ずかしさから考えるより先に出たのは課長を責める言葉。
『俺の?』
『そうですよ、もとはと言えば課長がだらしないから!』
分かってる。
完全にやつ当たりだ。
『それで?』
『それでって…。だから、私が片付けしなきゃなんなくて、口煩く言わないと誰も言わないから』
『うん』
『それで…、だからどんどん口煩いお局みたいになって、でも課長は飄々としてるし…。周りからも夫婦喧嘩とかって…』
『うん、それで?』
八つ当たりも良いところな上に、言ってる事が意味わからなくなってるのが自分でも分かってる。
なのに、課長がこんな時に限って優しい声を出すから調子が狂う。