裏腹王子は目覚めのキスを
トーゴくんはソファの上にだらしなく片足をのせた状態で、わたしを見たままフリーズした。
いつもと様子の違う、余裕をなくした王子様の態度になんだか気持ちが焦る。
「ど、どうしたの?」
わたしの呼びかけを無視してしばらく考え込んでいたかと思うと、トーゴくんは顔をしかめた。
「お前、一年前に男と別れたって言ってたよな。何が原因で別れたんだよ」
低く押し殺した声は妙に迫力があって、わたしはわずかに身を引く。
「えと……別に、理由という理由は……。たんにわたしが地元に戻るから……」
「それだけで?」
「な、何か問題でもある……?」
こちらの質問に答えることはせず、王子様は低い声で続けた。
「その相手の男、まさか、お前がこっちに戻ってきたから、また付き合おうって言い出したわけ?」
「え……詳しいことはまだ、わからないけど……」
「今度いつ会うんだよ」
「えと、面接の日、かな」
畳み掛けるように訊いてきたと思ったら、厳しい口調で言い放つ。
「それ、日取り決まったら俺に知らせろよ、絶対」
「え、どうして……?」
トーゴくんには関係ないじゃない。
さすがに言葉を返すと、彼は威圧感たっぷりに片眉をつり上げた。
「俺は今、お前の保護者みたいなもんだろ」
「保護者って……」
二の句が継げなかった。