裏腹王子は目覚めのキスを
 
確かにわたしは今自立していない状態で、トーゴくんのお世話になっているには違いないけれど。
 
自分のプライベートには踏み込ませないのに、わたしのことには首を突っ込んで来るって、どうなの?


「わたし、別に子どもじゃ」

「わかったな」

「……はい」
 
有無を言わせぬ迫力に反論しかけた言葉を引っ込めてしまう。

会話の運びが、いつもよりもずっと強引だった。
 
どういうわけか、王子様は虫の居所が悪いみたいだ。
 
さっき誕生日を祝っていたときは、すごく機嫌よさそうに「ありがとな」なんて言っていたのに。
 

釈然としないまま、わたしはソファから離れて後片付けの続きを始めた。
 
派遣の登録をして、健太郎くんに仕事を見つけてもらって。
 
わたしが前向きに動き出そうとしているのに、トーゴくんは何がそんなに不満なのだろう。
 

ダイニングテーブルを拭きながらソファに目をやれば、真ん中に堂々と沈む彼が見える。
 
テレビのチャンネルを苛立たしげに回していく様子に、わたしは人知れずため息をこぼした。

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