裏腹王子は目覚めのキスを
付き合う男の人には、わたしだけを好きでいてほしい。
彼氏彼女という形で付き合っているならば、お互いを思いやり、パートナーだけを永遠に愛し続けるものなのだと、恋人ならばそれが普通なのだと、遠い昔のわたしは信じていた。
でも、実際はそうじゃない。
トーゴくんのように、女の子を次々に変えていく人もいれば、平気で二股をする人もいる。
高校生のときに告白をされて付き合った同じクラスの男の子は、わたしが大学受験で忙しくしているあいだに他の女の子と関係を持ち、それが原因で別れた。
地元の大学で付き合い始めたサークルの先輩は、気持ちのブレがとても大きな人で、一度メーターが振り切れると、怒鳴ったり手を上げることがあった。
彼がサークル内のほかの女の子に手を出したことを機にわたしから別れを告げたけれど、変にこじれてしまい、ストーカーまがいのことをされ、わたしは逃げるように地元から都内へ出てきて就職したのだ。
この話は昔、付き合う前に健太郎くんに話したことがあった。
「僕なら、そんなふうには絶対にならないな……」
静かにつぶやいた彼の言葉に、強く胸を打たれたことを覚えている。
実際、過去の彼氏たちに比べて、健太郎くんはとても大人で落ち着いていて、一緒にいると安心できたし、わたしをリードしてくれる頼もしいところもあった。
彼の外見をあげつらって悪く言う友達もいたけれど、わたしは彼のことが好きだった。
だから、別れたときはとても寂しかったし、悲しかった。それでも仕事で打ちのめされた精神状態では、すがりつく力も、話し合いをする気力もなかったのだ。