裏腹王子は目覚めのキスを
心の奥では、トーゴくんになんて話をしているんだろうと自分に呆れながら、それでも尋ねられるまま赤裸々に答えてしまっていた。
「わたしが原因でそういう行為ができなくても、僕は全然大丈夫だからって、健太郎くんは言ってくれて……。その一回以来、そういうことはしてない」
わたしの話を聞くと、トーゴくんは考え込むように顔をしかめた。
「それ、本当にお前のせいか?」
「え……」
「たんに男側が下手だっただけじゃねえの」
さらりと吐き出された言葉には、どことなく毒が含まれているような気がして、わたしは固まった。
鳴りを潜めていた感情が、一気に吹き上がる。
バカにされた、と思った。
「そりゃあ、百戦錬磨のトーゴくんに比べたら、誰だって下手だよ!」
どうしてこんなに腹が立つんだろうと、自分でも不思議だった。
「世の中、そんな手練な人ばっかじゃないんだから!」
「おい落ち着け。声がでかい」
立ち上がりかけたわたしをなだめるように言って、トーゴくんは店内に視線を這わせる。
「百戦錬磨って。別に俺は、そういう意味で言ったわけじゃ」
「トーゴくんみたいに身体の関係ばっかり続けてる人には、精神的につながる大事さなんて分かんないんだよ!」