裏腹王子は目覚めのキスを

わたしの言葉は思いがけず彼の心に刺さったらしい。
 
周囲を気にしていたトーゴくんの顔が、さっと青ざめた。
 
あたりに向けていた視線をわたしに固定し、ふてくされたように椅子にもたれる。

「……そうかよ」
 
不機嫌そうに言うと、またがりがりと頭を掻いた。

「じゃあお前、これからその男んとこに住むわけ?」

「あ……それは……」
 
健太郎くんとのやりとりを話し、引き続きトーゴくんのところに置かせてもらえるとありがたい、と言うと、彼はますます眉間に皺を刻んだ。

「はあ? なんだそれ」
 
尖った声で言い、コーヒーを口に含む。

「どうも理解できねえな」
 
苦々しい口調も当然だ、と思った。
 
本来なら彼氏に頼るべきところを、幼なじみのトーゴくんに甘えるなんて見当違いもいいとこだ。
 
いくらわたしが家事を一手に引き受けていても、人一人を家に住まわせているトーゴくんの負担は大きい。

「ご、ごめんなさい……トーゴくんが嫌なら、わたしもどうにか別の方法を」

「俺が理解できないのは、その男だよ」

わたしの声を遮って、彼は煙草を取り出した。

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