裏腹王子は目覚めのキスを
「あいつら、なんか知らんけど、早い段階から俺の感情を見抜いて、協力しますって言ってきてたんだよ」
「え……」
そういえば、桜大はいつか、トーゴくんとSNSのやりとりをしていると言っていた。
「俺がシンガポール関連の仕事をしてるって話もしてたし、そのうち出張で行くことになるとも言ってあったわけ」
「わたし……旅行先、どこがいいか、みのりちゃんに聞いて……」
電話で桜太と話をしているときに、ビンタン島を提案してくれたのは彼女だ。
「俺がお前の旅行を知ったのはお前に聞かされたときだから、あいつらもこうなることを予想してたわけじゃないだろうけど……」
王子様は、にやっと片方の口角を上げる。
「でもまあ、南国リゾートなんて無数にあんのに、シンガポールからフェリーで1時間のこの島をお前に教えたのは“偶然“ではないだろうな」
わたしは絶句した。
弟たちの無邪気そうな笑顔が、頭の中をぐるぐる回る。
あの子たちは、わたしとトーゴくんからそれぞれ話を聞きだしては、“偶然が起こりやすい”ように、はかりごとをめぐらせていたのだ。
――困ったこととかあれば、いや、困ってなくても、なんでもいいからちょくちょく連絡して、絶対。
いつかの桜太のセリフがよみがえって、笑ってしまう。
5つも年下の、まだ大学生の彼らのほうが、わたしよりもよっぽど状況が見えていたのかもしれない。
「それで、トーゴくんの感情って何?」
鏡の前でティアラとパールのネックレスを外しながら言うと、背後に立つ彼と鏡越しに目が合った。