裏腹王子は目覚めのキスを

 
「あん?」

「桜太たちに早い段階で見抜かれたっていう、トーゴくんの感情って?」
 
王子様は一瞬、あっけにとられたような顔をした。それから頬をひくつかせる。

「お前……それ、分かっててわざと言ってんのか?」
 
きょとんとしていると、不意に胸の締めつけが緩んだ。

「ちょ、ちょっと!」
 
トーゴくんにドレスのバックファスナーを下ろされそうになり、慌てて振り返る。

「何してるのっ?」

「いや、脱がすの手伝ってやろうかと。……ていうか、その格好もなかなかそそる」

「もう、冗談――」
 
振り上げた腕を取られて、目が合う。
 
しんと、空気が静まった。
 
トーゴくんの澄んだ目でまっすぐ見下ろされ、心臓が跳ねる。

「お前、放っておくとどんどん不幸の坂を転がり落ちてくから、見てらんねえよ」

「な……」
 
むっとすると、彼は小さくため息をついた。

「分かれバカ。……放っておけないっつってんだよ」
 
腰を引き寄せられ、わたしはトーゴくんの腕におさまる。ふわりと、彼の匂いが漂った。

ベッドでつつまれたときと同じ、切なくて、あたたかい香りに、胸がつまる。

「俺をここまで必死にさせたやつは、お前がはじめてだよ」

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