裏腹王子は目覚めのキスを
「ええ!?」
トーゴくんは開いた足に両腕をのせ、うなだれている。
「ど、どうし――」
態度を急変させた彼に声をかけようとした瞬間、思い出される。
――嫌い……トーゴくんなんか。
あの2LDKのマンションのオフホワイトのシーツの海で、確かにわたしは王子様にそんなセリフを投げつけたのだ。
わたしはあわてて彼に駆け寄った。
「ち、ちがうの」
ベッドに座ったまま顔を上げないトーゴくんに、必死に説明する。
「あれは言葉のアヤって言うか、自分でも気づいてなかったっていうか、本当はわたし、ずっと前からトーゴくんのこと――」
その瞬間、王子様が顔を上げた。その口元は皮肉っぽく笑っていて……、
「俺のことを?」
深い色の瞳は、わたしを簡単に絡めとってしまう。
「好き……」
それは溢れるようにこぼれ落ちた。
「好き、トーゴくん……」
頬を伝い落ちる、涙のしずくと一緒に。
「好きだった……ずっと前から」