裏腹王子は目覚めのキスを


ぽろぽろ落ちていく言葉たちを、王子様はすくいあげるようにして受け止める。

「ようやく言ったな、このバカ子が」
 
長い間しまいこんでいた気持ちを、吐きだしたからだろうか。
 
胸の奥がきつく締まって苦しい。
涙が次から次へとあふれて、止まらない。
 
トーゴくんの長い指が、わたしの濡れた頬にそっと触れる。

「まーお前の気持ちなんてとっくに知ってたけど。やっぱシラフのときに聞かないとな」
 
思いがけない言葉に、わたしは耳を疑った。

「……どういう、こと?」

「羽華お前、前に酒飲んで酔っぱらったとき、すげー俺のこと誘ってきて大変だったんだぞ」
 
わたしはその場に凍りついた。
涙でふやけた頭を、必死に回転させる。
 
お酒を飲んで正体をなくしたのは、もう半年も前のことだ。

「居酒屋でつぶれたお前をおぶってマンションに戻ってさ」と、トーゴくんはあの日の出来事を思い返すように続ける。

「ベッドまで運んだはいいものの、『トーゴくんが好きー』ってくっついて離れねぇから、危うく襲いかかるとこだったわ。いや、むしろあれは俺が襲われかけたと言っていい」

「う……嘘」

「もちろん、なんもしてねーぞ。俺は記憶を飛ばすほど酔ってる女とやる趣味はないし」
 
絶句だ。
 
自分が信じられない。

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