裏腹王子は目覚めのキスを



てっきり空港に向かうと思ったのに、わたしたちを乗せたタクシーが止まったのは、あの奇妙な形をしたリゾートホテル、マリーナベイ・サンズの前だった。
 
真下から見上げると、夜空を背景に、三つの高層ビルを繋ぐ空中庭園が巨大な船のヘリみたいにかすかな曲線を描いていることがわかる。

「空港行くんじゃ、なかったの……?」

「んーまあな」
 
入り口をくぐると、トーゴくんは空港のロビーみたいな広い空間を歩き出す。
後ろに続きなら、わたしはあたりを見回した。

両側にレストランやお店が立ち並ぶ広い通りは、3つの高層ビルを繋ぐ通路になっていて、はるか奥まで続いている。
この3つのビルの上に、地上200メートルのプールがある。
 
さっきのぼりたいって言ったから、連れてきてくれたのかな?
 
宿泊客や観光客でにぎわっている通りを歩いていくと、トーゴくんはフロントを見つけてそちらへ歩いていった。

ぽかんとして見ていると、彼はスタッフと何事かを話しこみ、すぐに戻ってくる。その手にはカードのようなものを持っていた。

「さて、部屋に行きますか」

「ええ!?」

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