裏腹王子は目覚めのキスを
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とろりとした甘いシロップの海。
あたたかな液体に満たされて、ぷかぷかと浮かんでいるような時間だった。
高くなったり低くなったりする潮に揺らされながら、身体が少しずつ痺れていく。
そうしているうちに波に呑まれ、海の底に沈んでしまう。
心地よい気だるさでベッドに沈んでいると、となりでうつ伏せになったトーゴくんが枕元をまさぐって、思い出したように頭を掻いた。
「煙草……吸いたいの?」
わたしの声に驚いたように振り向くと、彼は「いや」とつぶやく。
「いつもの癖で探しただけ」
その言葉に、ちりっと胸がこげた。
女の人と寝た後の、癖……?
考えても仕方がないと分かっているけれど、どうしても想像してしまう。
彼女でもない女の人と一夜限りの関係を持ち、ベッドで煙草を吸っていたトーゴくん。
「トーゴくんて……わたしのこと、好きなの?」
「はああ?」
ぽつりと言ったわたしの言葉に、王子様は盛大に顔を歪めた。
「何言ってんのお前」
「え、だって……言われたことないなって思って……」
「それよりすげーこと言ってんだろが」
「それは……そうだけど」