裏腹王子は目覚めのキスを

結婚して、とか、俺の人生をやる、とか、トーゴくんの口から放たれたとは思えないような言葉を、確かにたくさんもらった。
 
でも、いつからそういうふうに思ってくれたのかとか、女遊びはいつやめたのかとか、わからないこともたくさんある。
 
そういうのは、聞いちゃいけないかな。
 
黙っていると、トーゴくんはため息をついた。
 
サイドボードに置いた腕時計を手に取り、「しょうがねえな」と独り言ちる。

「あと5分だぞ」

「え……?」

「誕生日だから特別。日付が変わるまで、なんでも答えてやるよ」

「ほ、ほんと?」
 
布団で胸を隠しながら身体を起こした。なんでも、と言われると、かえって何を聞こうか迷ってしまう。

「ほら、あと4分」

「あ、えっと……じゃあ、トーゴくんはわたしのこと、その、いつ……好きになってくれたの?」

「……いつからって聞かれたら、地元に住んでる頃から好きだったよ。お前可愛かったし」

「ええ……?」
 
わたしは肩を落とした。
 
トーゴくんが口にした『好き』という言葉は、本気の『好き』とは違う。重みのまったくない、空に飛んでいってしまいそうなふわふわした『好き』だ。

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