厄介なkissを、きみと ー fairy tail ー
チラリと視線を右隣に移せば、まだ俯いたままの後藤さんの姿が確認できた。
「……後藤さん」
そう声を掛けると、後藤さんの肩がビクンと跳ねた。
ゆっくりとこちらを見る後藤さんの目は、潤んでいて。
ドクンと、今度はオレの心臓が跳ねた。
「なんか、…ごめん。オレが大げさに…」
言いかけた言葉を遮るように、後藤さんがブンブンと首を横に振った。
「ちがうの」
その言葉を口にすることが精一杯だったのか、その後に続く言葉を見つけられなかったのか。
後藤さんは唇をきゅっと噛んで黙ってしまった。
「………うん」
オレも、そう頷くことしかできなくなって。
ただ、後藤さんのように、自分の顔が真っ赤でないことを願った。
体温が上昇して、汗が噴き出しそうなほど暑いと感じたのは、湿度が高いせい。
きっとそうだ。