厄介なkissを、きみと ー fairy tail ー

チラリと視線を右隣に移せば、まだ俯いたままの後藤さんの姿が確認できた。


「……後藤さん」

そう声を掛けると、後藤さんの肩がビクンと跳ねた。

ゆっくりとこちらを見る後藤さんの目は、潤んでいて。


ドクンと、今度はオレの心臓が跳ねた。


「なんか、…ごめん。オレが大げさに…」

言いかけた言葉を遮るように、後藤さんがブンブンと首を横に振った。

「ちがうの」

その言葉を口にすることが精一杯だったのか、その後に続く言葉を見つけられなかったのか。

後藤さんは唇をきゅっと噛んで黙ってしまった。


「………うん」

オレも、そう頷くことしかできなくなって。

ただ、後藤さんのように、自分の顔が真っ赤でないことを願った。


体温が上昇して、汗が噴き出しそうなほど暑いと感じたのは、湿度が高いせい。

きっとそうだ。

< 14 / 21 >

この作品をシェア

pagetop