壁ドン王子な上司さま
モノローグ〜小春
わたしと彰の出会いは、もう20年前になる。
わたしは3人兄妹の末っ子長女。彰は上の兄の親友。物心ついた時には、既に彰が存在していた。年が離れてるから、一緒に遊んだことはないけど、たまに兄と2人で宿題を見てくれてた。
家族以外で接する男の人は彰が初めてで、当然のように、わたしは彰のことが好きになった。
ずっと片想いだったけど、わたしを見る彰の目が変わったことに気がついたのは、中学3年の頃。言葉はなかったけど、わたしと彰の距離は近づいて、高校生になってから付き合い始めた。
高校生と社会人だから制限はいろいろあったし、清いお付き合いを続けた。

二十歳になった時。誕生日当日、彰は出張だったけど、2日後にお祝いをしてくれた。
そして、わたしたちは初めて結ばれた。
「小春・・・、愛してるよ、小春」
わたしも・・・。そう言いたかったけど、初めての痛みと、喜びの涙でぐちゃぐちゃになっていたわたしは、彰に抱きつくことしかできなかった。

なかなか決まらなかった就職先が決まり、後は大学を卒業するだけになった頃、彰が両親を訪ねて来た。

卒業したら一緒に暮らしたいので許可して欲しいと、床に頭を擦り付けるくらい下げて、両親に頼み込んだ。

結婚は、と問う父に彰は、「社会人になったばかりの小春を縛り付けたくない」と言い、納得させた。

そして3年、現在に至る訳だ。
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