極妻
「え?……そうなん?……まあそれはともかく!!鬼塚さんを殺さんといて!!」


私は朔夜の肩にしがみついた。


「小夜子だってこの道のルールくらい知ってんだろ?落とし前はつけなきゃならねー」


「知らんよそんなん!うちは極道が死ぬほど嫌いやって言うたやん!命をなんやと思ってんの!?そんな軽いもんやない!!」



すると私の気持ちがすこしは通じたのか、朔夜の顔がやわらかくなった気がした。


「小夜子には、やくざの娘も女房も向かねーよなぁ……」


朔夜がため息を吐きながらそう言ったから、鬼塚さんを許したんやと思ってホッとした。


けれど。
黙っていた鬼塚さんは引き金に指を当てた。




「私は朔夜様の人間離れした魔性さに惹かれて今日まで来ました。

あなたの中には夜叉がいた。

しかし、そんな小娘に心を奪われ、ただの人間になってしまった。

今のあなたでは草薙尊に勝てない。殺されます。
御劔組は終わりです………」







そして、銃声。


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