君がいなきゃダメなんだ。【壁ドン企画】
驚きを隠せず目を見開く私に、冴木先生は少し照れたような表情で言う。



「昨日、りんごを買いに行ったついでに、ケーキを予約してきたんです。驚かせようと思っていたのに、結局迷惑かけるばっかりで……
本当に僕は、君がいなきゃダメだな」



片方の大きな手が、私の髪を耳に掛けるようにそっと滑る。

先生って、こんなに優しく触れるんだ──。


彼と壁の間に挟まれた私の体温が、ぐんぐん上昇していく。

下心のない壁ドンでドキドキさせてしまうのが、なんだか先生らしい。

でも、一気に縮まった距離は、お互いの心までもくっつけてくれたみたいだ。



「……先生、質問があるんですけど」

「何でしょう」

「私、助手としてだけじゃなくて……彼女として、先生のそばにいてもいいんでしょうか?」



声が震え、込み上げるモノで視界が揺れる。

そこに映る彼は、初めてとびきり甘い笑みを浮かべた。



「もちろん、お願いします」



学生達の質問はあっさりと流すけれど、今の先生はちゃんと答えてくれた。

そして、春の日差しみたいに温かな眼差しを向けながら言う。



「誕生日おめでとう」

「ありがとうございます……!」



嬉しくて、幸せで。幸せすぎて、私は思わず彼の身体に抱きついた。

< 8 / 9 >

この作品をシェア

pagetop