二十年後のクリスマスイブ
時間は過ぎていく…全てに平等に…だが、不思議とそれを人は一定だとは感じないだろう…
《南風》の表が白みがかって来た。店の中に居た三人は時をすっかり忘れていた。それ位、店の中は心地良い空間だった。 これが、桐人と律子の作り出す上質の雰囲気である。新井は二人が店に居る事で自身が癒されている事を痛感した。
現在は独身の新井だが、先立たれた妻との間に子供が居れば桐人や律子と同年代かも知れない… 何時しか新井は二人を自分の子供のように思っていた。
桐人と律子…どちらも個人として客観的に見ても容姿や性格に引き込まれる魅力を持っている。 そんな二人が仲睦まじくしている姿は本当に微笑ましい。そんな二人を眺めていて時間を忘れた新井だった。
とても良い表情をして二人は熱く会話をしていた。 てっきり元の鞘に収まったと新井は思っていた。
しかし…時は容赦なく二人を引き離した。空が白み明るくなるにつれ、桐人と律子の表情は又曇り始め、外は良い天気とはっきり判る位に陽が昇って来たのと裏腹に店の中は土砂降りが訪れた。 二人は徐々に、人目もはばからず泣き崩れながらの会話となっていた。
「やれやれ…」
新井の心配が募った。
《南風》の表が白みがかって来た。店の中に居た三人は時をすっかり忘れていた。それ位、店の中は心地良い空間だった。 これが、桐人と律子の作り出す上質の雰囲気である。新井は二人が店に居る事で自身が癒されている事を痛感した。
現在は独身の新井だが、先立たれた妻との間に子供が居れば桐人や律子と同年代かも知れない… 何時しか新井は二人を自分の子供のように思っていた。
桐人と律子…どちらも個人として客観的に見ても容姿や性格に引き込まれる魅力を持っている。 そんな二人が仲睦まじくしている姿は本当に微笑ましい。そんな二人を眺めていて時間を忘れた新井だった。
とても良い表情をして二人は熱く会話をしていた。 てっきり元の鞘に収まったと新井は思っていた。
しかし…時は容赦なく二人を引き離した。空が白み明るくなるにつれ、桐人と律子の表情は又曇り始め、外は良い天気とはっきり判る位に陽が昇って来たのと裏腹に店の中は土砂降りが訪れた。 二人は徐々に、人目もはばからず泣き崩れながらの会話となっていた。
「やれやれ…」
新井の心配が募った。