二十年後のクリスマスイブ
店の中は新井と拓真だけの空間のまま静かに時は進んだ。外は昼過ぎなのに薄暗く冷え込み、いつ雪が降り出してもおかしくなく、BGMの讃美歌と年季の入ったクリスマスツリーの光も、桐人と律子を待ち詫びていた。
「珍しい事もあるもんだ!今日は、出してないのね?…」
常連の老婦が、空いている桐人の隣の席に腰掛けて言った。
「そうそう勝てるものじゃないよ。パチンコはね…俺は今迄、見えない何かに勝たせて貰っていただけ…」
桐人は、銀玉が舞跳ぶパチンコの盤面を真剣に見ながら呟いた。
「私なんかは負けてばかりだけど何故か此処に足が向いてしまうんだよ。 どうしたもんだか… ところで、今日はクリスマスイブだと言うのに結構な人が居るのね…私みたいに歳を取って待つ人の居ない孤独な老人など少ないと思っていたよ…」
老婦が何気無く呟いた言葉が冷凍されていた桐人の心に点火した。
「クリスマスイブなのか…今日!?そうか、そう云う事か…」
桐人の心の封印が解かれ身体も熱くなり始めていた。
「お兄さんも、今日は大分つぎ込んでいるみたいだけど、こんなところで嵌っていていいのかい?…」
「……………」
「珍しい事もあるもんだ!今日は、出してないのね?…」
常連の老婦が、空いている桐人の隣の席に腰掛けて言った。
「そうそう勝てるものじゃないよ。パチンコはね…俺は今迄、見えない何かに勝たせて貰っていただけ…」
桐人は、銀玉が舞跳ぶパチンコの盤面を真剣に見ながら呟いた。
「私なんかは負けてばかりだけど何故か此処に足が向いてしまうんだよ。 どうしたもんだか… ところで、今日はクリスマスイブだと言うのに結構な人が居るのね…私みたいに歳を取って待つ人の居ない孤独な老人など少ないと思っていたよ…」
老婦が何気無く呟いた言葉が冷凍されていた桐人の心に点火した。
「クリスマスイブなのか…今日!?そうか、そう云う事か…」
桐人の心の封印が解かれ身体も熱くなり始めていた。
「お兄さんも、今日は大分つぎ込んでいるみたいだけど、こんなところで嵌っていていいのかい?…」
「……………」