二十年後のクリスマスイブ
今日という日を〈南風〉も知ってか知らずなのか不思議と客足は遠のいていた。疎らに客が店のドアの鐘を鳴らして新井と拓真を緊張させたが、待ち人で無いのを確認すると顔を見合わせ苦笑いを繰り返した。
そんな中で、〈南風〉のドアの鐘が微かに鳴った。 今迄と違う遠慮がちな音に入って来る客を拓真と新井は、じっと擬視した。現れたのは中年の紳士と拓真と同じ歳頃の娘の二人だった。拓真は待ち人では無いと察しすぐに視線を正面に向け溜め息をついたが、新井の記憶の引き出しは、すぐに開いて笑顔で迎えた。
運命…
現れた客も、それに導かれた一人だった…
「お久し振りです。覚え……?」
客の紳士が、マスターに挨拶をしかけて拓真を一目見るなり心臓を掴まれた感じで言葉が止まった。
「桐ちゃん?……」
紳士は、呼吸を忘れ思わず呟き拓真を見つめ続けた。
「?…貴方は桐人を知っているのですか?…私も若き桐人と見間違えた程によく似ています…」
新井も狐に摘まれた様に説明した。
「では、やはり指輪の持ち主は、末椅子桐人でしたか?…私も導かれた一人と云う事ですかね…」
紳士の呟きに新井と拓真に、その意味は判らなかった。
そんな中で、〈南風〉のドアの鐘が微かに鳴った。 今迄と違う遠慮がちな音に入って来る客を拓真と新井は、じっと擬視した。現れたのは中年の紳士と拓真と同じ歳頃の娘の二人だった。拓真は待ち人では無いと察しすぐに視線を正面に向け溜め息をついたが、新井の記憶の引き出しは、すぐに開いて笑顔で迎えた。
運命…
現れた客も、それに導かれた一人だった…
「お久し振りです。覚え……?」
客の紳士が、マスターに挨拶をしかけて拓真を一目見るなり心臓を掴まれた感じで言葉が止まった。
「桐ちゃん?……」
紳士は、呼吸を忘れ思わず呟き拓真を見つめ続けた。
「?…貴方は桐人を知っているのですか?…私も若き桐人と見間違えた程によく似ています…」
新井も狐に摘まれた様に説明した。
「では、やはり指輪の持ち主は、末椅子桐人でしたか?…私も導かれた一人と云う事ですかね…」
紳士の呟きに新井と拓真に、その意味は判らなかった。