ニンゲン釣りゲーム
出口へのヒントがあるのではないか、とはりきった様子で、陶器の中をのぞきこんだ大和が、「うわああっ」と派手な悲鳴をあげて、尻もちをついた。

「大和、どうしたの!?」

楓と歩が、慌てて駆け寄る。

「中に……中に……」

大和は震える唇でそう繰り返す。

おそるおそる陶器の中をのぞきこんでみた。
直後に、楓はのけぞっていた。

――中には濁った水がたまっており、コケともカビともつかぬものが、びっしりついている。
ゴミ収集場のような生臭い臭いがツンと鼻を刺激し、涙目になった。


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