ニンゲン釣りゲーム
ひとみは、転んでしまった夏樹を仰向けにさせ、その顔にヤリを執拗につきたてていた。

あまりにも残酷な光景に、ちさとは目をそらした。
あんなことができるなんて――狂ってしまったとしか思えない。

朱莉が両手に顔をうずめて、わっ、と泣きだす。

かわいそうな、朱莉。怖くてたまらないのだろう。
ちさとは、その肩を抱き寄せようとした。

「翼くん……」

朱莉の震える口が、その名を呼ぶ。
それをきいたちさとは、凍りついたように手が動かなくなった。


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