薬指の秘密
「とか言っちゃって。基本黒崎先生は優しいでしょ。少し遠回りでわかりにくいだけで」

といってもそれもしるふと知り合ってからだろうか

出逢った当初は周りに心を開いていない狼という印象だったけれど

最近はリーダー格の狼の方がしっくりくる

「いや、絶対心の隅で風邪菌まき散らすだけだからさっさと帰れとか思ってるんだよ」

プリン一個で騙されるようなしるふちゃんじゃないもんね

「なんか性格悪くなってるわよ、あんた」

「海斗のせいだよ。期待しても裏切ってくれるんだもん」

ちょっとやそっとのことでは動じなくなってしまった

「そう。まあ、早く治しなよ」

しるふがいないと医局が一気に男臭くなるんだから

「はーい」

ひらひらと手を振って莉彩に別れを告げる

一応手すりに手をかけて階段を下り、歩きながら

どうしてヒールなんて履いてきたんだろう、とふと思う

時々視界がぐらりと傾くのは、ヒールと熱っぽさのせいだ
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