薬指の秘密
鏡越しに話しながらよくもまあ髪を巻くものだとその器用さにうっすらと感嘆する

「それより、出かけるから」

準備出来たら下来て

車にいる

そう言い残してさっさと立ち去る海斗の背に

「ちょっと待って!出かけるって何処に?」

着る物変わるんですけど

「着る物?こないだ買ったのでいいんじゃない」

「あ。あの毛糸のワンピース?あれお気に入りなんだ」

海斗よくわかってるじゃない

にっこりと嬉しそうに笑ったしるふがアパートから出てきたのは、それから約20分後

女の子にはいろいろやることがあるの

だそうだ

「ところでどこ行くの」

流れる景色は、順調に街中に向かっている

クリスマスシーズンを終え、ライトアップの終わった街路樹

空は冬らしい澄んだきれいな空

こうして出かけるのは久しぶりなような気がする

「街中」

「それはわかるわよ。わかった、映画見たいの?珍しー。いっつも一人で見に行っちゃうのに」
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